次元転移


2005年4月


4月1日
今日4月1日は、「今日だけは別に嘘ついても構わないからどんどんありもしないことを言って人を騙しちゃうぞー」という行動が、国家ぐるみで容認されている日らしい。いつも嘘をついたりつかれたりしている僕にとって、こんなに良い日はない。ぜひともこれに便乗し、愚かなモンキーどもを騙しまくってやろうと思う。どこの誰だか知らないけど、エイプリルフール考えた人は天才。これ間違いない。ありがとう、考えた人!!さて、騙す為にはターゲットが必要な訳だが、ちょうど昨日の深夜、友人から「お前の家に遊びに行く」とメールをもらってあるから、ターゲットはコイツで決まりである。さてさて、どうやって騙そうかな・・・!!


こうして、どうやって騙すのかを考え始めた僕は、程なく壁にぶち当たった。どうやって騙せばいいのか。のび太を騙すスネヲとジャイヤンよろしく「俺今日気分いいから、ショートケーキをご馳走してやるよ!」等の、ぬか喜び系統の嘘を鮮やかに決めるか?はたまた、昨今のTV上のドッキリよろしく、「今お前の家が燃えてるってよ!!!」等の、即死系の凶悪スペルを華麗に唱えあげ、きゃつを不安に陥れてみるか?しかしながら、これらの手法は使い古された手であり、これらを駆使して人を騙すのは限りなく難しい。相手も、今日がエイプリルフールだと言うことを踏まえて僕に絡んでくるであろうから、古典的手法では到底騙しきれないであろう。ならばどうするか。そう、新しい手法を編み出すしか道は残されていない。そこで僕は詰まってしまったのである。最早、騙す側と騙される側の高度知的戦略戦といって過言でないゲーム「エイプリルフール」において、相手を出し抜く為に絶対必要なのは「奇策」、つまり奇抜なアイデアなのである。そして僕にはそのアイデアが無かった。何とかしてアイデアを捻り出さなければ・・・。騙せなくなってしまう!


奇抜なアイデアが浮かばなかった僕は、しばらく嘘に使用する言葉を弄っては悩み、弄っては悩みしていたが、そこではたと気付いた。そう、何も口頭で伝えなくてもいいのだ。例えばブラックコーヒーのボトルの中に墨汁を入れる等、書いてある情報により相手を欺くこともまた一つの嘘の形、ということに気付いたのだ。そうすれば僕は山の如し黙して語らず、ただただ様子を見ているのみで事足りる。あまり滑舌が良いとはいえない僕にとっては最高の方法である。こうして、手法は決まった。あとは、騙す内容だけである。


試行錯誤の結果、実行する嘘は「家の入り口にに『TOILET』の掛札をかけておく」に決定した。こんなのでは騙せない気もするが、基本的にそこまで深く騙すつもりは無いのでこんなもので十分なのである。仕掛けはものの数分で終了。さて、あとは友人が来るのを待つのみ。しばらく本を読んだりして来るのを待ったが、一向に来る気配すらない。それでもめげずにずーっと待つ。途中、仕事から帰ってきた母親に烈火の如く怒られ危うく取り外しさせられそうになったが、取るふりををしてごまかした。そして待つ。それでもこないので、友人にメールしてみた。


多少の怒りを込め、「お前なんで今日こないの?」とメールを送信。すると帰ってきたメールには「ああ、あれ嘘」という真にふざけたメール。僕を馬鹿にしているのか。冗談も大概にしろこのゴミクズ!「つーかさ、アレ送ったの4月1日なんだけど。だから嘘」ハァ!?僕が受け取ったのは確かに3月中だぞ!「だったら受信時刻確認してみろ」望む所だ。えーっと、受信時刻は、と・・・ア、アレ?確かに4月1日だ・・・。落胆していたら新着メール。そこにはこう書いてあった。「12時過ぎたら日付変わるんだよバーカ」と。うーん、どうやら僕はコイツに一杯食わされたようだゾ。なにが「ようだゾ」だよ馬鹿野郎。ふざけんな。嘘をつくのも大概にしろ。マジどこのどいつだよ4月馬鹿考えたロクデナシ。おそらく考えたやつは悪魔か詐欺師。これ確実。あとこのイベントに便乗して人を騙そうとした奴はとりあえず全員死ね。というか僕が呪文で殺す。これは嘘じゃないから覚悟しろ。メラゾーマ!!(ドォーン!)(カザマがいる地点に突如として火柱が上がる)


4月2日
今現在午後三時五十二分。いっやー、暇だね!!圧倒的に暇。完膚なきまでに暇。なんと言うか暇。暇暇暇暇。例えば今大声を出してそのデシベルを競いあう大会に出場したとして、間違いなく叫ぶのは「暇ァーーーーッ!!!」だろうね。これ確実。その声で並み居る強豪をばったばったと気絶させ、しまいには見事大会に優勝し、賞品のうまい棒500本を余す所無く東京湾に不法投棄、それがまわりまわってインドネシアのマングローブを破壊し尽くして、挙句のはてにそれが国際問題に発展してしまうのはまた別の話として、とにかく暇。暇は潰すものという記述は古の随筆集であるところの枕草子にすら残っているのだから、これを潰すのは最早僕にとっての宿命とかそういうものになっているはず。というわけで暇を潰そうとしてるんだけど、もうね、手段が無い。金なんか無いし、何故だか知らんけど今日は夜までネットにつなげないし、ゲームも飽きた。本棚の本に至っては、なんと手を触れるだけで全部のストーリーが浮かび上がってくるという脅威の特殊能力さえ取得してしまう始末。ん?そんな能力信じられない?じゃあ今から証明する。本はアレな。「ハリーポッターと賢者の石」でいいよな。じゃあ今からやってみせる。・・・む〜・・・よしわかった!この本のストーリーは、「何故か魔法が使えちゃう世紀の大泥棒ハリー・ポッターが、時価数十円は下らない幻の河原の石ころ、その名も「賢者の石」を、隣に住んでいる近所でも評判のとても親切なおばあさんから、ガムテープや金属バットなどの魔法の道具を駆使して華麗に奪ってくるハートフル強盗活劇!」って所だな。いやあ、我が事ながら素晴らしい。もうこれは本のストーリーのエッセンスを余す所無く出し尽くしてしまっているといって過言でない。まあ少し難があるとすれば、結構ネタバレをしてしまっている所か。例えばハリーポッターが魔法を使えることは、物語の終盤で1000人ほどの警官に囲まれて絶体絶命になった時にいきなりイオナズンを使って自分の周り半径一キロほどの範囲のありとあらゆる存在を余す所無く全てぶっ飛ばした所で初めて明らかになるし。まあ君たち凡百モンキーどもはこんな分厚い本なんか読まないだろうから、ネタバレしてても何ら問題無いよネ!


閑話休題。そういえば話の本題は、暇を潰す方法が無いとかそういう話だった。すっかり忘れてた。でまあとりあえず一通りいつもの行動をやって見ても、一向に解決される気配すらない。そこで僕は、もう根本的に解決するしか方法は無いと踏んで一日の行動パターンを書き記してみた。企業の作業効率化にも使われていて、ある企業などはそれにより一億円もの利益をあげているという画期的手法、その名も「表にまとめる」により、日常に潜む暇を生み出している原因を突き止めよう、という魂胆である。早速昨日の行動を表にしてみた。


PM3:00 起床

PM3:15 食事

PM3:30〜 ネット

PM7:00 夕食

PM7:30〜 ネット

PM11:30 風呂

PM12:00 パソコンでテキスト作成

AM3:00 就寝


書き出してみた所、自分の行動がそこはかとなく生ゴミのかほり漂うスケジュールだったという事実に、当方困惑の色を隠し切れません。というかいくらなんでもパソコンの比率高すぎ。起きている時間の90%は優に越えてる。これじゃあネットができないと、想像を絶する時間のエアポケッツが生まれて、そこにすっぽりはまって動けなくなるのは明白。つまり今日。なるほど、原因は判明。しかし原因がわかっても解決ができないというザッツ袋小路。表に書き出してみても全く意味なし。でもとりあえず雀の涙ほどの時間が潰せたので良しとしよう。それはともかく、今気付いたのだが、僕には必要な物がある。それは友人だ。


例えば僕を外に連れ出し、多種多様なイベンツに誘ってくれるような友人。例えば、自ら楽しそうなイベンツを企画し、それに参加するように僕を誘ってくれる友人。そういった人が、僕には必要なのである。だが現実はどうだ。僕の友人は僕と似たような奴ばっかりだ。すなわちアニメヲタク、パソコンヲタク、マンガヲタクという鉄壁の布陣である。他にもいるにはいるけど、そいつらも総じて受動的で、自ら行動を起こすような奴ではない。ならばどうするか。簡単な話。作ればいいのである。だから今から作ってみる。とりあえず自己紹介から始めよう。え〜と。カザマです。高校生です。小太りです。ヒキコモリです。・・・・ダメだダメだ!!こんなんじゃ友達なんか死ぬまでできそうもない。他のことを話そう。例えば音楽。そうだ、音楽なら誰にだって好みはあるはずだ。うんそうだ。じゃあ、えーと、僕の好きなアーティストは、バンプオブチキンです!今も「太陽」を聞いてます!!あ、そういえば太陽の歌詞の、『かくれんぼしてた 日が暮れてった』で始まる一説で思い出したんだけど、僕もこのような状況になったことがある。あれは確か幼稚園の時。近所でも評判のアクティブな幼稚園児、確か名前は上田君とか言ったっけな、まあそういう活発な子に「今日皆でかくれんぼしようぜ〜」といわれ、10人ぐらいの大所帯でかなり広い公園に遊びに行ったのだ。僕は気合を入れて、物凄い見つかりにくい場所、まあ具体的には公園の隅っこにあった倉庫みたいなほったて小屋の中に隠れたのだ。そして一時間がたち、二時間がたち、三時間が経過しようとしている時にようやく自分が置き去りにされていることに気付き、外に出てみると広い公園に一人ぼっち。オレンジ色の空が僕をつつんだ、みたいな、ちょっとした詩が書けてしまいそうな情景。次の日、幼稚園で上田を問いただしてみると、一向に見つからないから、探すのをあきらめて鬼ごっこして遊んでた、との事。今思えば、現在僕の思考回路に組み込まれている「ノリのいい奴は信用するな」みたいな信念は、この頃作られたのだと思う。そしてこの頃から僕の人生はヒキコモリへとベクトルを間違え・・・あ”〜もうヤメヤメ!友人作るのヤメ!変なこと思い出したせいで気分がふさぎこんできた。もう全くやる気が起きない。暇つぶしの方法とかどうでもいいや。どうやらちょうど良く夕飯の時間だしね。それじゃあグッバイチンカスども。暇万歳!ヒキコモリ万歳!!とりあえず外出する奴は全員隕石に当たって死ね!!!


4月4日
世間から離脱した所で毎日を送っている、まあ例えば僕のように、広大な二進法ワールドを縦横無尽に駆け回り、時には路傍に咲く小さな花の美しさに涙し、時には人と人とがお互いを憎しみ、妬み、そねみ、その感情が爆発してついには焦土と化してしまった我が故郷を思って涙し、旅の途中出会った仲間達と共に放浪している最中に世界戦争が勃発、僕は、僕に秘めた力を渇望し、捕らえて利用しようとする議会枢密院率いる軍隊に抗う事を決意し、枢密院を滅する為の遥かな旅路の途中、僕は傷つき、悲しみ、時には怒りに我を忘れたりしながらも、そのつど周りにいた仲間達に助けられ、ついに枢密院を滅亡させることに成功、僕は一躍英雄とあがめられ、これまでの仲間と共に平和な世界を築くことに尽力するが、最終的にはモチを喉に詰まらせて死亡、享年63歳、みたいな、なんだか書いているうちに無駄に長くなってしまって大変ショックだが、まあとにかくそういう風な感じが日常である者にとって、世間の事情を知ることは困難なのである。まだしもそのような生活が日常である時は良いが、いくら世間から離れようとしても結局は人間。いずれは世間に戻らねば死ぬより他無い。しかしながら、そのような非日常的なな毎日に慣れきってしまった体では、世間に戻った所で世間との大きなズレに阻まれ、それにより社会復帰が困難になってしまうのである。つまるところ、社会復帰を果たす為にはズレをなくす必要がある。そしてその方法、つまりズレをなくす為の方法としては、『誰かに相談すること』というのが筆頭に挙げられる。この場合、一番適した相談役とすれば『友人』であるが、社会復帰を熱望している人間は総じて友人がいない。ならばどうするか。そう、ここで公共の相談役、つまり『電話相談室』が役に立つ。




果たして社会復帰を熱望している僕は、ご多分に漏れず相談に乗ってくれるような友人が皆無なので、社会復帰の為にこれを利用することにした。社会復帰への第一歩である。そう、そこだ。第一歩を踏み出した所で僕はつまずいた。相談役は決まった。しかし、何を相談するのだ。社会とのズレを解決する為に相談するにしても、何かその社会のズレといえる具体的な事例が必要ではないか。そこで僕は詰まってしまった。僕の社会復帰計画は暗礁に乗り上げてしまった。僕が社会復帰する日は、いつまでたってもやって気はしないのだろうか・・・。


そういう風に考えたらこの世の全ての現象が無意味に思えてきて、いつものとおり、時間をスライム(LV3)にむかってMP999のマダンテを発動するぐらいの無駄加減で消費していたのですが、二十一世紀こども百科である所の世界遺産不思議発見大図鑑(筆者注・小学館から発売されている図鑑の一種。ほのかな五七五調がマニアにはたまらない逸品)を見ていたところ、何の前触れもなしに、遥かな昔に書かれた偉大な学術体系書である「ネットランナー」の片隅に、「カザマ七不思議」という記述があるのを思い出しました。この七不思議、詳述すると古代の神の怒りに触れ、あえなく僕の人生が初期化されてしまうが為に詳しくは説明できませんが、サワリだけ話すと「朝起きてみると起動済みのPCが机の上にある」とか、「水曜夜1時頃になると勝手にテレビの電源が入れられて呪いの呪文を唱えだす」などの恐怖現象が記載されています。ちなみに、この呪いの言葉は「ハッピーマテリアル」とか言うCDになって一部の黒魔導師たちに大人気だとか・・・なんと恐ろしい。日本の滅亡は近いですね。


話がそれてしまった。とにかく、この「カザマ七不思議」は、おそらくは僕と社会とのズレを端的に示しているはずなのだ。そこで僕は、七不思議の一つである「ベットから起きたら既に日が傾き始めていた」という内容の一文を引用し、それを相談室のオニイサンにぶつけることにした。これまた古の学術書である所の「コロコロコミック」によると、どうやら相談する時は一気にしゃべってしまわなければ命の保証がないらしい。それが本当ならば、噛むと非常にマズイので練習する。生麦生米生卵。よし、大丈夫だ。いざ電話を取らん!

ピッ、ピッ、ピッ、ピ


ぷるるるるるるるるる

ガチャ


女の声「ハイ、こちら電話相談室で


カザマ「始めまして!僕はこの春高校に入学する予定のカザマと申します!今日は相談があって電話しました!何の相談かというと、このごろ僕の周りで変な現象が起きるからです!どんな現象かというと、ある日僕が普通にベットから起き上がったら、もう午後3時を回っていたんです!おかしくないですかコレ!?もしよかったらどうやれば解決できるのか教えて欲しいです!あ、あと同年代の子も同じようなことが起こってるんですかね!?是非教えて欲しいです!!!!」



女の声「・・・電話は9:00から4:00までの間に受け付けております。また時間を変えて電話してくださいね♪」



時計を見たら午前二時でした。


僕と社会の大きな溝は、ますます深まるばかりのようです。


4月6日
昨日は満員電車にもまれ、人ごみを見ると衝動的にリレミトを発動しようとしてしまう自分をどうにかおさえ、そこはかとなくヒロシ臭を漂わせながら、かの千葉県は浦安にあるネズミ王国にフィンランドの伝統球技「ペサパッロ」をプレイするために遠征に行っていたので、家に帰還してからは15時間位ぶっ倒れていたのですが、冷静に考えたらそんなことしてる場合じゃなかった。今日という今日は、僕の家に新しいパソコンが届く日である。もう一度言う。今日は、パソコンが、届く、日である。パソコンが、届く、日である。IBM社製のパワーノートブックである。金16万円也である。ぶっちゃけた話これを買ったせいで貯金が無い。しかし、しかしだ。このパソコンは、確かにそれだけの価値があるはずなのだ。



そして今日。起きたら既に2時を回っていた。しかし、まだパソコンは届いていないようだ。ひたすら待つ。ただひたすら待つ。(ピンポーン)おおおぉぉぉぉ!!!来た来た来たぁああぁ!!!一切の無駄のない軽快な動きでインターホンをとり、「ハイ!」と普段の一オクターブ増しの声で返答したところ「朝日の勧誘なんですけどー」というまったくもって人をなめきっている返答。怒りに我を忘れ「うちは読売ですからぁ!!残念!!」と波田陽区がみたらあまりの迫力に失禁しそうなぐらいの勢いで絶叫した後、そのままの勢いでで針に糸を通す作業に従事。黙々と作業を続けていると、漸くのことで鳴り響きし幸福の音色。風の如き俊敏な動きを以ってして速やかにクロネコのお兄さんとのコンタクトに成功、差し出された書類にはんこを押し、ついに僕は手に入れた。




田舎から送られてきたりんごの箱を。




ふざけるな馬鹿。



この何かの組織の陰謀としか思えない出来事により、傷心を抱えたままこの世の楽園(本屋)に旅立つことになってしまった僕であったが、どうやらこの世に神はいる。楽園から我が要塞(6畳間)に帰還したときには、既にIBMのロゴが記されたダンボールでつくられし宝箱がベットの上に鎮座していた。こ・・・これが・・・パソコン・・・・!!!!震える手で慎重に、それこそ時限爆弾の解除の時と大差ないぐらい慎重にダンボールを開け、アダプタなどのパーツを確認し、そしてついに、パソコンと対面した。ハー!!これが16万円のノートか!!なんかスゲーでかいぞコレ。前まで使ってたノートの二回りぐらい大きい。こんなの外に持ってったら肩が脱臼するよ。まあ持っていかないけどね。僕はひきこもりだからね!!


閑話休題。これ以上話し続けたらまた僕の篭城事情を再認識してしまうので話を進める。ノートというにはあまりに巨大なパソコンと対面した僕は、早速起動することにした。電源ボタンを押す。ハードディスクが動き始める。そして現われしXPの起動画面。ウッヒョー!!興奮しているとなにやらいろいろ設定しろといわれたので設定。五分で完了。銀河一楽勝。パソコンの説明が「俺様専用デカノート」という点にはいささかセンスを疑わざるを得ないが、とりあえずそんなものは焼却炉にぶち込んでおけば良いので気にしないことにする。うるさいな、適当な名前が思いつかなかったんだよ!!そしてデスクトップが表示される。XPのデザイン。世界地図の壁紙。何もかもが新鮮に感じられる。早速インターネットに接続。と、繋がらない。なぜか繋がらない。五分ほど思案した後、たどり着いた真理はあまりに簡潔なものだった。そうだ。無線LANの設定してなかった。


すぐさま資料を引っ張り出し、設定を始める。だがしかし、意味がわからない。えーと・・・暗号化がどうのこうの言ってるのはかろうじて理解できるのだけれども、その先はもはや宇宙言語と化している。そんなナメック語みたいな事を語られたって僕には微塵もわからないんだよ!!と紙切れに向かってマジギレし、サイコロで明日の天気を占っていたところに父親が帰還。早速交渉。「ねー、LANの設定してくれる?」「ん、いいよ」三秒で交渉成立。夕飯を食べ終わったあと設定を始めるとの事で、僕はおとなしく風呂に入って待つことにした。20分後、風呂から上がった僕を迎えたのは、パソコンの画面で燦々と輝くヤフーのトップページであった。早ッ!!え、どんぐらいで終わったのコレ?「ん、5分ぐらい?」スゲー。やっぱ本職にはかなわんわー。


見事ネット開通を果たしたので早速ネットサーフィン。うおー軽快。今までのがウンコみたいに見えてくるね。LAN開通ついでに接続した他のパソコンから多種多様なファイルを移し、見事ここに僕の僕による僕のためのノートパソコンが完成。いいぃぃぃいいぃよっしゃああぁぁぁぁ!!!!かなり大袈裟に喜ぶ僕。しかしながら、不幸の足音は、幸せの最中にも確実に大きくなっているのであった。そして、それを証明するかのように、パソコンの影に隠れている「入学の手引き」という冊子には、確かに「入学式4月7日」という恐怖の呪文が記載されていたのであった。  <続く>


<次回予告>

マジ!?パソコンで徹夜したせいで入学式に遅刻!?
え!パソコンのやりすぎで入学手続き書類に記入漏れ!?
現代の不思議!学校で一言もしゃべってない生徒がいる!!?

</次回予告>

乞うご期待!!(多分嘘ですよ)


4月7日
<前回までのあらすじ>

入学式前日にパソコンが届いてしまった世紀のインターネット超人ことカザマ・アロエリーナ一世は、なんたることか入学式前日にもかかわらず入学準備をほっぽってパソコンにかじりつき、挙句の果てに登校時間は8時半だというのに夜3時まで徹夜していたのだった。どうなるカザマ一世!

<あらすじおわり>


朝6時半という世紀末を連想させる時刻にたたき起こされ、ちょっとした拷問を受けたような後の顔をしながら起床。おそらくは今世紀始まって以来の目覚めの悪さである。しかも今日が入学式であるということが事態に拍車をかけている。簡潔に言うと、死にそう。朝飯が食えない。そして吐きそう。嘔吐しそう。このままでは自らの意思とは無関係に吐瀉物を撒き散らし、自分の部屋がチェルノブイリと化してしまうかもしれない。それを危惧した僕は予定より早くに登校することにした。朝7時40分のことである。


履き慣れない革靴にブツクサ文句をたれながら駅に到着。切符を買い、電車に乗ろうとする。が、乗る予定だった列車が来ない。何故だ。ダイヤの乱れがほとんど無いのはJRの誇っている点じゃなかったのか。電光掲示板を見るとどうやら人身事故があったらしい。ふざけんじゃねえよ。どこのどいつだよ線路に飛び降りやがったウンコ野郎は、などと文字数10万文字ぐらいの愚痴を並べ立てつつも、内心では「電車が動かないことを理由に入学式をサボれないものか」と考えている線路に飛び降りるやつと同じぐらいウンコな人物が僕カザマなのでした。


同行していた母親に半ばひきずられるような形で高校に到着。そしてそこで、同じ中学の知り合いとばったり出くわす。おやおやおや?そこはかとなく希望の光ですか?なるほど、捨てる神あれば拾う神あり。今思えば今日の寝起きが絶望的に悪かったのも、はたまた今日に限って人身事故がおきたのも、すべてはこの偶然の出会いを引き起こすための布石だったのだろう。なんか会話が無いけど、それは多分相手が緊張しているせいだろう。よっしゃよっしゃ、何とかなるっぽいぞ、とばかりにクラスわけの掲示板を見ると見事に別クラスになってました。というか同じクラスに知り合いが一人もいませんでした。何これ。「捨てる神あれば拾う神あるけど実は拾う神は詐欺師なのでしたアッカンベロべロバー」という声がどこからか聞こえてくる。幻聴だろうか。なんてこった。僕キチガイじゃないのに。


稀に見るローテンションで教室入り。周りにいるのは人を人とも思わないような人物ばかり(妄想含む)。そんなわけで、まるでほかの人と目線をあわさず、机に突っ伏して寝たふりを敢行。その甲斐あってか、誰とも話すことなく入学式の時間を迎えることができました。よっしゃよっしゃ、何とか乗り切った。そして入学式。校長先生以下来賓の方たちの「高校生活ガンバ」という内容の話を一時間ほど聞かされただけで終了。あとは家に帰る前に、定期を買ってお終いである。やっとこさ家に帰れる・・・!心なし足取り軽やかに販売所へ。駅員の制服を着た男の人に話しかける。あのーすいません、定期を購入したいんですけど。「はい、じゃあ名前をお願いします」カザマ・アロエリーナ一世です。「ハイ、コレですね」イヤッホーゥ!!定期ゲット!!しかもなんとスイカつきだぜ!!!JR(チャージすれば)乗り放題だぜ!!!!「すいません、料金が一万五千円になります。」え・・・?金払うんですか?「そうですよ。」前払いじゃないんですか?「ハイ。違うんです。」ゴソゴソゴソ・・・五百円しかなーい!!!!金圧倒的に足りなーい!!!!すなわち定期買えなーい!!!フンギャァ!!!!ものすげー緊急事態なので親召還呪文を唱えることに。テロレロレロレン(魔法の発動音)「何の用?」定期買うのに金必要みたいだから貸して。「幾ら?」一万五千円なんだって。「あ、丁度一万六千円しかなかった。予備一万円持ってきといてよかった〜」オイオイ、予備が無かったら僕いったいどうなってたんだよ。考えるだけで恐ろしい。まあしかし、とりあえず余計な不安は亜空間に不法投棄して定期を改めて手に取って見る。うぉー、なんだか一気に高校生としての自覚が出てきたゾ。コリャー高校生活がんばんなきゃナ!!と思った所で、「今日は高校で母親としか話をしていない」という事実に気づき、心は暗雲に閉ざされた。そんな僕にはお構いなしに、電車は僕の家に近づいていく。これからはいつも以上に(ネットサーフィンを)頑張ってみよう。そう考えながら家のドアをくぐり、パソコンを立ち上げた。ブラウザでテキストサイトの更新を確かめるためである。う〜ん、やっぱりこっちのほうが僕の性分に合ってるっぽいっすね!!インターネット最高!!!とりあえず高校生活頑張るのは一年後に順延!!!! <終了>


4月10日
昨日未明、4月9日なのに4月6日と4月7日の日記がアップされるという世界三大七不思議、つまるところ世界二十一不思議の一つに数えられるという現象が起きたと聞いて僕は大変驚きました。驚くと同時に、この原因は究明しなければならない、と感じました。なぜならば僕がこの問題を解決しない限り、世界中のストリートチルドレンたちは永遠にうまい棒のパックについているカスを嘗めるのを止めないと思ったからです。嘗めていいのはアイスクリームのふたについている奴だけという風に国際法で決まっているので、これ以上法を守らない子供たちが増えていくのは嫌だからです。僕は(15分ほど)一生懸命調べました。しかし、それもむなしく一向に原因はわからず、僕は子供たちを止めることができませんでした。僕は彼らにつぐなう為、自殺します。以上で遺書とさせていただきます。



閑話休題。というわけで今日も嘘8000から始まったスーパー虚言癖サイトこと次元転移なんだけど、このサイトの主であるカザマっていうゾンビ人間は、篭城時間が大体30時間を優に越える銀行強盗も真っ青のウルトラヒッキーだからネタもへったくれもありゃしないんだ!!ってまあ三人称で語っては見たものの、書いてることはいつもとなんら変わらんので文体も元に戻す。でだ、何が書きたいかというと暇なのだ。篭城も20時間を越えるあたりから何をするにも飽きてくる。暇をつぶす方法が無いのだ。カラオケとかに誘ってくれる友人でもいれば、すぐさま外の世界に無条件降伏でもして遊びほうけてやるものを・・・。そうだ!一人で家の中で歌ってればいいのかもしれない。一人カラオケだ。今モニタの前で「かーくれんぼしてた、ひーがーくーれってった」などと一人さびしく歌っている姿が鮮明に浮かんできてものすごいやる気が無くなって来たが、とにかく俺はやるぞう!しかし、普通に歌ってるだけじゃあ能が無い。そうだな、二倍速にしよう。暇もつぶせるし、滑舌も鍛えられるので一石二鳥である。オッシャー!やったるでー!!プレーヤー起動!曲選択画面表示!!バンプの「太陽」を選択!!二倍速の設定OK!始まったぞ!!歌えや歌え!僕はスター歌手だァー!!!





「かくれんぼしてt(ガッ」





えーとまあつまり、誰か口内炎を直してくれ、って事です。


4月13日
僕に代表されるような日々をつつがなくすごしているダストパーソン(クズ人間)に、こんな出来事が起こってもよいものなのだろうか。オイ聞いてるのかそこのお前。そう、お前だよお前。お前がこのサイトを見てるのはとっくに調べがついてるんだよ神野郎。お前このところ僕にむかってよくわからない念波発してるだろ。じゃなきゃあんな出来事があっていいはずが無いのだ。一刻も早く念波止めないとマジお前の家のハンガーというハンガーを全てゴミ捨て場に放り投げるぞコラ。ハンガーが無くなったら、アンタの趣味のハンガーヌンチャクもできなくなるんだぞ?いいのか?よくないだろ?だから止めろ。いいな、わかったな。


さて、これを読んで、「コイツマジ危ねえぞ。今のうちに殺しとかなければ俺様の世界征服三年計画に狂いが生じてしまうことは明白だ。今すぐ殺さねば!!突撃ィィイッッッ!!!」などと言いながら刃渡り15cmのバターナイフで僕に斬りかかってくるようなウルトラキチガイの御仁がいては当方非常に迷惑(いちいち見事なスウェーバックでナイフをかわした後に、一子相伝の必殺技ハリセングランドクロスを発動するのは面倒)であるからして、以下に事の顛末を記すことにする。


発端は、僕が高校から帰るために電車に乗った事である。既に「朝乗った電車で前にいたオッサンから正露丸臭がした」や、「朝会が始まってすぐに途方も無いレベルの腹痛に襲われた」「今日も学校でほとんど会話していない」などの世紀末的な呪いの数々によって、僕の精神力は著しく疲弊していた。そしておもむろに乗り込んでくる二人の女子高校生。その二人は僕の隣に座り、挙句獣の如く騒ぎ出し始めやがったのである。「ねー、マジあの数学の高橋ウザくなーい?」「ホントだよねー。いちいちスカートが短いとか、うるさいし。」手前らのほうがうるせえよ。「ていうかさー、絶対うちらの足とか見てるよね〜」「うん、見てるよねアレ。マジキモいしね〜」だから手前らの足は煮付けにしたほうがまだマシだっつってんだろ。「あとさ、国語の西川。絶対援助交際してるよね、あの顔」「そうだよねー(笑)後頭ハゲてるし!」「(爆笑)」ダーーーー!!!うるせぇーーー!!!!


それでもなんとか破壊衝動をこらえ、なんとか電車を降りることに成功。湧き上がる感慨。一種の達成感。よっしゃよっしゃ。何とか乗り切った。ふと周りを見ると、どうやら同じ駅だったようだ。先の女子高生がいる。途端に先ほどの声がよみがえる。頭痛がする。そして改札を出た時、ふと思った。「あ〜もうマジみんな死ね」と。



次の瞬間、隣の改札の人が、「エ?」って感じでこちらを振り向きました。


独り言が聞こえていたようです。


とりあえず、とっさに死んだ魚の目をして誤魔化しましたが、家に着いたときの僕の顔は、まるでゾンビのようでした。とりあえずコンビニで聖水を購入し、自分にふりかけたいと思います。(死ぬかもしれない)


4月14日
ヒキコモリの生活というのは、長い間謎のままだったらしい。その理由は主に、「ヒキコモリはひきこもってるからいつまでたっても研究ができない」という物らしい。だが、僕は独自のルートによりヒキコモリの観察に成功した。自分の生活を書き出してみるという画期的手法によってである。本来ならば極秘である研究結果だが、研究の結果は大衆の目に触れさせるべきであるという信念に基づき、ここにヒキコモリの生活の詳細を書き記す。


1、日が傾いてから起きる
ヒキコモリの必須条件、それはもちろん「家から一歩も出ない」だが、ほとんどのヒキコモリはこの「日が傾いてから起きる」というスキルも習得済みであるため、これもまた一つのヒキコモリの形といえよう。ちなみにこのスキルの習得には、「本当にUFOにさらわれたのに誰も信じてくれなかった」「掃除中ふざけて箒をフルスイングしたら校長先生の頭にクリティカルヒット」「家の便所が詰まったせいで家が水没」の三つのイベントを発生させる必要がある。


2、トイレにこもる
家にひきこもる奴はすべからくトイレに長くこもる、というのがヒキコモリ研究学の常識である。群馬県多野郡鬼石町在住の近藤伝助氏(72)宅にあるスーパーコンピューターによる推計によると、どうやらヒキコモリの約91%がトイレに長くこもるらしい。トイレにこもって何をしているのかは不明であるが、何故か戦国武将の兜をかぶってトイレに入るヒキコモリが目撃されたのを考えると、どうやらトイレの扉はわれわれの知らない世界へと繋がっているらしい。



3、エニェライザをコルトラスとした上で哲学論考。

早い話がそのままである。言葉の解説をすると

・エニェライザ
ハナクソをほじくっていたらいつの間にか朝が来ていたという現象の総称。
・コルトラス
忘れ物をしないようにメモを取ってあったのに、そのメモがどこにあるのかを忘れてしまう中高年御用達の必殺技。威力170。

これを踏まえて説明すると、ヒキコモリは毎日

エニェライザを発生→(省略)→コルトラスの発動条(中略)→哲学論考→ウマー(゚д゚)

という行動パターンを踏む。ちなみに理由は謎である。


4、ネットをする

言わずもがな。


以上である。もともと、ヒキコモリには行動パターンが少ないため、研究を進めるのは難しい、というのが、近年のヒキコモリ研究家たちの本音である。しかも、どうやら国の政策によりヒキコモリは死刑または300円未満の罰金を取られるらしい。これによりもともと少ない(世界に一人)ヒキコモリ研究家が、ますます減ることは間違いない。ヒキコモリの未来は暗い。


4月25日
「パルプンテ」を唱えて隕石を呼ぼうと躍起になっていたら、もう更新しない日が11日も続いててびっくり仰天。思わず体中から色んなもの(大腿骨等)が飛び出してきそうになってしまった。危ない危ない。そりゃ大腿骨飛び出せば歴戦の勇者であるところの俺だって死ぬって話。まあ嘘だから死ぬわけないけどね。ビヨーン!!


というわけでこんばんは。カザマです。そこはかとなくスギ花粉のかほり漂う今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。僕はといえば相変わらず高校へ行く以外は家に引きこもっているので、まったくもって花粉の影響を受けていません。あ、でもセイタカアワダチソウは苦手です。アレルギー自己診断。あてにならないけど。


更新がなかった間、僕はいろいろと大変でした。例えば、学校で誰とも話していないから無茶苦茶暇で、仕方ないからずーっとペン回しをしていたら腕がつりそうになったとか、軽い気持ちで最終兵器彼女を読み始めたら、読み終わったあとものすげー落ち込んで死にそうになったとか。とても涙なしには語れない超感動大作に仕上がっております。公開はあと数百億万年後だそうですよ。っていうかいくら久々の更新だからって手抜きすぎだよね。ごめんなさい。最近18禁ゲームであるところの「CROSS † CHANNEL」がとても欲しいカザマがお送りいたしました。でも絶対買わんぞ。法律違反だし。欲望との戦い。そう、これは自分との戦いなのだ。(セリフだけはかっこいい)


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